2013年5月27日、アーユルヴェーダの元祖、インディアントラディショナルのアーユルヴェーダが体験できるキララスパにお邪魔しました。トリートメントプロダクトは全てインドから輸入したもので、現地の病院では病気の人のために使われている、医療効果の高いものです。キララの日本人オーナーは、インド・ケララ州の病院に短期留学し、アーユルヴェーダを学びました。キララスパの店名は、「キラキラと輝くように癒されてほしい」というオーナーの願いと、彼女が修行を積んだ地「ケララ」が由来となっています。今回は、ヨガレッスンと本格アーユルヴェーダメニューの『ピリチリ+アビヤンガ2』を体験してきます!
キララスパへ・・・
取材当日の朝は約束の時間より30分も早く、キララスパのスタッフとドライバーがヒロチャンオフィスにお迎えにきてくれました。
最近のバリ島は渋滞が多いため、道路の混雑を予想して早く出たら、意外にも早く着いてしまったとか…
通常はドライバーだけがお迎えにきます。この日の運転を務めてくれたのはバリ島ブレレン出身のクトゥットさん。日本語は全くできませんが、簡単な英語は通じます。
クタにあるキララスパへは、ジンバランのヒロチャンオフィスからだと40分ほどで到着しました。 大通りであるサンセットロードから曲がったところにあるデウィスリ通りに位置しています。 有名なインドネシア料理のレストラン、クトゥパットの前にあります。
このあたりはクタといっても中心部のように騒がしい雰囲気はなく、広い道路に大きなレストランやホテルが進出中の落ち着いたエリアです。日本食スーパーマーケットのパパイヤや、バリベーカリーなども近くにあります。
そんな並びにあるキララスパは、外から見た感じは小さめの店構えです。 外から様子がわからないのでミステリアスな雰囲気。中はどうなっているのでしょう!?
玄関のドアを入ると、すぐにロビーがありました。 ホワイトの効いたシンプルな空間にベンチが並んでいます。
日本人のお客様に対しては、すべて日本人のゲストリレーションが接客をしてくれます。 まずはウェルカムドリンクに、濃い目のマンゴジュースをいただきました。
カウンセリング
そして日本語のカルテに名前など必要事項を記入したあと、体質チェックを行います。
チェックリストにしたがって記憶力や食欲についてなど18の質問に答えることで、ゲストのドーシャを特定します。
ドーシャとはアーユルヴェーダにおいて体質を指す言葉。 大きく分けて、風のエネルギーであるVATA(ヴァータ)、 火のエネルギーであるPITTA(ピッタ)、水のエネルギーであるKAPHA(カファ)の3タイプがあります。
人間のからだにはこれら3つのエネルギーが共存していますが、このバランスが崩れると病気になってしまう、というのがアーユルヴェーダの考え方です。
したがってアーユルヴェーダのトリートメントでは、ゲストひとりひとりのドーシャに合ったオイルを使うことが大切です。
最初の体質チェックリストからオイルを選ぶこともできますが、このキララスパではOリングチェックを行います! 本格アーユルヴェーダスパならではの珍しいチェック方法でした。
まず足を肩幅にあけ、右手の親指と人差し指でOKサインを作ります。 左手にはオイルが入ったボトルをのせ、心の中で「このオイルは私に合いますか」と問いかけます。 問いかけはOKサインの指先に力を入れながら行うのですが、このときスタッフが閉じた親指と人差し指を開こうとします。 もしオイルが自分にあってなかったら、指の輪はすぐに開きます。もし合っていたら、開こうとしてもなかなか開かない。
オイルは3種類から選びます。
クーリング・・・いろんな花をミックスして作っています。心と体の熱のエネルギーを冷ます効果があります。ドーシャタイプでピッタが強い方にはおすすめのオイルです。
ストレスオフ・・・ レモングラスがベースになったオイルです。ストレスの浄化作用があります。心と体の冷えた部分を温める効果があります。
マッスルリリース・・・約20種類のハーブをミックスして作ったオイルです。肩こりや腰痛など痛みを改善します。すべてのドーシャに適していますが、刺激が強めなのでアレルギー体質や、皮膚の弱い方にはおすすめできないオイルです。
最初は不思議に思いながらOリングチェックを実践してみたユッキーですが、この方法で合うオイルはクーリングと決まりました!
カウンセリングが終わったところで、ロビーから玉砂利の敷かれたかわいい廊下を歩いて奥へ。 階段を上って3階のヨガのスペースに移動します。
ヨガレッスン ビギナー編
3階のヨガスタジオは、大きな窓から光の差し込む明るい空間でした。 空いたところに荷物を置き、ヨガレッスンのスタートです。 ヨガの時は動きやすいTシャツやトレーニングパンツがオススメです。 着替えをしたい方は一般のトリートメントルームを貸してもらえます。
本日ヨガを教えていただくのはヨガと瞑想のベテラントレーナー、エリ先生。
フォーシーズンやラグーナ、ウェスティンといったバリ島の高級リゾートホテルでもヨガ講師としてクラスを開いています。
今回はビギナー向けのヨガを教えていただきます。 レッスンで使う言葉は英語のみになりますが、ゆっくりの英語とジェスチャーも使ってくれますので理解しやすいでしょう。
キララスパでは毎回外部からヨガ講師を呼んでいるため、レッスン当日にどんな先生に会えるかはお楽しみです。
体の力を抜いてリラックスした姿勢をとり、まずはヨガの基本である呼吸法から練習します。
「ヨガの一番のポイントは呼吸法です」とエリ先生。
息を吸って、止めて、止めた時の息のもっていき方、吐き方を丁寧に教えていただきます。
ヨガは体を柔らかくするだけではなく、呼吸法を使うことによってストレスの解消や、精神の安定、精神統一に効果があります。
呼吸法の練習が終わったら、次はストレッチングです。何種類もある中から先生が生徒を見てポーズを決め、簡単なものから始めていきます。 準備体操のようなものですね。
ストレッチングの後はHATTA(ハタ)と呼ばれる動きです。 全身のバランスを整え、感情のコントロールをするのに効果があります。 全部で16種類のパターンから、先生が選んだものを実践しました。 どのポーズをとるときも先生は「息を吸って」「息を止めて」「息を吐いて」という言葉をかけてくれます。
HATTA(ハタ)の後は、ソンソルテーションという動きに入ります。 サンサルテーションとは太陽への礼拝という意味があり、太陽神に対する祈りの形を連続した一定のパターンにしたものです。
ソンソルテーションにも全部で12種類のパターンがありますが、先生が生徒のレベルに合わせて選び、お手本を示してくれます。 それでもポーズはだんだんと難しくなってきて、体の硬い、運動不足の私には無理なもの、バランスのとりにくいものもかなりありました。
最後は、リラクゼーションを5分間行います。
まず最初の3分間は呼吸を整え、体から完全に力を抜いてリラックスさせます。自分の手、足、すべてを意識し、力を入れないように心がけます。 そして手のひらをこすり合わせ、顔、目、最後に耳へと順番にあてていきます。 終わりに瞑想。2分間何も考えないことがポイントです。
レッスン中は体が痛い!辛い!と思っていましたが、終わってみるとスッキリ、気分爽快でした。
終了後、エリ先生とポーズです♪ なかなか先生の様に姿勢正しくバランスをとるのは難しいです。
エリ先生は 「ヨガは難しいものではない、呼吸法さえ覚えてしまえばあとは毎日少しでいいからすること。そうすれば体がだんだん慣れてくるよ。 ヨガレッスンの後は、みんな必ずまたしたい!ヨガを勉強したい、と言います。 その秘密は、ヨガがただの運動ではなく、呼吸法を使っての運動だということです。正しい呼吸をすることで、自然とストレスが解消されているのよ」と語ってくれました。
1時間のヨガレッスンを終えて、次は階段を下りて2階にあるトリートメントルームに移動です。
トリートメントルーム
キララスパには全部で4室のトリートメントルームがあり、すべてツインです。照明は小さく、暗めのお部屋は雰囲気がありました。
バリっぽいバティック柄のシーツに、白鳥の様に巻いて置かれているのはバスタオルです。 かわいいですね。
ただ、このタオルは肌触りが固いのでちょっと残念。
シャワールームとバスタブは独立しています。ボディソープ、シャンプー、コンディショナーの3種類とボディ用のスポンジが置かれていました。シャワーをする時はカーテンを閉めます。
さて、トリートメントの準備です。 部屋まで案内してくれた日本人スタッフから、紙パンツとサロンに着替え、サンダルにも履き替えるように案内がありました。
荷物はベッドの下の鍵付きのロッカーにしまいます。
左のカゴは脱いだ洋服を入れるもの、右の小箱は、アクセサリーケースです。 バッグなどと一緒に、すべて下のロッカーに入れます。
フットバス
着替えが済んだら、まずはフットバスからトリートメントのスタートです。 まず、ぬるま湯の入ったボールの中にジャスミンのバスソルトを入れます。
そのお湯の中に足を浸し、マッサージしてもらいました。 ボディソープを使って洗い流し、ブラシを使ってかかとも磨いてくれました。
スパによっては、ブラシでゴシゴシと豪快に洗うところもありますが、キララスパでのブラシ使いは控えめでした。
フットバスを済ませたら、いよいよトリートメント本番!
今回体験したコースは、ピリチリ+アビヤンガ2(90分)です。
アビヤンガ2とピリチリは、2人のテラピストによる贅沢な施術です。
イローさん(左)とディアニーさん(右)にお世話になりました。
イローさんは、キララスパで働いて1年目です。
テラピスト歴は2年半で、日本語はあまり通じませんが、笑顔を絶やさないかわいい女の子です。
ディアニーさんはキララスパで働いて3年目。 テラピスト歴は15年というのベテランです。 日本語が少し話せます。
ピリチリ2(60分)
まずベッドに座り、手を胸の前で合わせ、目を閉じるようにと指示されます。
セラピストがマッサージの前に「このマッサージが成功するように」と祈願します。 その後前のテラピストが祈りを込めてマントラ(良い波動の音)を唱えます。
キララスパのアーユルヴェーダのマッサージは全て、このマントラを唱えることからはじまります。ヒンディー語ですが、お経の様には聞こえず、心の安らぐ歌を歌ってくれているような気がしました。
このマントラはお客様をリラックスさせ、エネルギーを入りやすくする効果があります。 お客様の中にはこのマントラを聞くだけで、思わず涙が止まらなくなった方もいるとか…
マントラを唱え終わった後にも、ちょっと変わった儀式を行います。
ユッキーが前に差し出した掌を、セラピストが軽く外に向かってはたきます。この動作は、からだの中の要らないエネルギーを取り払うという意味があります。
これらの過程を経た後に、マッサージがスタートします。
“ハーモニートリートメント”とも呼ばれているアビアンガ2は、筋肉の緊張をほぐしてストレスを緩和し、心身の調和を図るマッサージです。
セラピスト達はオイルを付けた手を擦り合せて温め、からだを揉み解していきます。使用するのは受付時にOリングテストで選んだクーリングオイル。
2人の息はぴったりで、力加減もほとんど同じでした。違和感を感じることなく、すごくリラックスして受けることができました。
強いマッサージではなく、流れるような手つきが特徴的でした。 目に見えない疲れ、自分では感じることのできない疲れを取ってくれる感じです。
ピリチリ(30分)
アビヤンガ2の後はピリチリです。
大量のオイルを全身にかけながら行う贅沢なトリートメントなので、王様のトリートメントとも呼ばれています。
ピリチリの本場インドでは特別な治療の時にしか行わない医療法だということですが、キララスパでは気軽に体験できちゃいます!
ピリチリには、特別なセッティングが必要です。シーツをめくると、ピリチリ用に改造されたベッドが姿を現しました。床板はビニールシートに覆われていて、全身にかけたオイルがうまく流れ落ちていくように出来ています。
まず、うつ伏せでビニールの上に横になると、セラピスト2人が温めたオイルを足から肩にかけて少しずつ垂らし、なじませていきます。
足の部分では温かく感じたオイルは、背中になると皮膚が薄いせいか熱く感じたので、温度の調整をしてもらいました。 同じ温度のオイルでも、施術する箇所で体感が違ってきます。熱すぎる、ぬるすぎるといった注文はすぐに伝えるのがおすすめです。
トリートメントルームにはセラピストの他に、オイルを温めるヘルパーさんがいるので遠慮は無用です。
ヘルパーさんのおかげでセラピスト2人の施術はとてもスムーズで、ユッキーのからだの上を絶え間なくオイルが流れ続けました。
ピリチリ1回につき、なんと3.5リットルものココナッツオイルを使用します。胸元まで、ずっと垂らして終了です。
その他の施設
フラワーバス用トリートメントルーム
ピリチリが終わったあとはシャワーでオイルを流します。
通常は元のトリートメントルームのシャワーを使いますが、今回の取材では特別に、別室のフラワーバスを体験させていただきました。
パープルの天蓋がついたエレガントなバスタブのお部屋は、フラワーバスがついたパッケージメニューで使用します。窓から木漏れ日が入ってきて、すごくロマンティックな気持ちになりました。
まわりに並べられたキャンドルも雰囲気を盛り上げてくれます。ただバスタブそのものは小さめなので、2人で入るには少し狭いかもしれないですね。
私はこの日2回のシャンプーとコンディショナー、そしてボディも2回ほど念入りに洗ったのですが、 なかなかオイルの匂いは落ちず、家までオイルの香りだけは持って帰りました。
セラピストの話では、少なくとも施術した当日中は、匂いは落ちないだろうとのことでした。
サロン
ちなみに、キララスパには、クリームバス専用のサロンもあります。
1階のロビーから一番近いお部屋で、シャワー台とカット台が2つずつのこぢんまりとした造りです。
トリートメント終了
シャワーを浴び終えて身支度をしたら、ロビーでアフタードリンクとフルーツをいただきます。
左の写真は、キララスパ自家製のウコンのジャムウです。
甘味には蜂蜜が使われ、飲む直前にレモンを絞ります。甘さ控えめでおいしかったです。
ジャムウはインドネシアの薬草ドリンクですが、キララのドリンクは初心者でも飲みやすそうでした。
右の写真はお口直しにサーブされる、さっぱりしたザクロのジュースです。どんなにおいしくても薬草ドリンクは苦手という方も安心ですね。
最後に日本語のアンケートに記入しておしまいです。
スパスタッフからの一言
施術が終わってからはだるさを感じることがあるので、1~2時間休むのがオススメです。 施術後の体内では、トリートメントで使ったオイルの成分が血液に吸収されて、成分が良くなっています。このとき、血中に溜まっていたアーマと呼ばれる未消化物を正常に戻す働きが行われているのです。 疲れが溜まっている人ほど、だるさを感じる時間が長くなるのですよ。
ヨガとアーユルヴェーダを満喫して、キララスパの送迎車で帰途につきます。
本日はありがとうございました!
取材を終えて
これまでにもアーユルヴェーダを体験したことはあったのですが、キララスパはさすが本格派の施術が売りということで、今までとはまるで違った感じがしました。それもそのはず、今回体験したピリチリは、インドでは病院で行われている治療法だと伺いました。
オイル選びにしても、トリートメント用の素材にしても、オーナーの日下部さんが短期留学中にインドで学んだことをそのまま実践しているという感じがしました。
トリートメントにはいってまず新鮮だったのは、開始前にマントラを唱えること。最初、セラピストが唱え始めたときはビックリしたのですが、そのうちに心がホッとしていきました。
トリートメントの最中には、意識が眠りに引き込まれるようにうとっとする瞬間が何回かありました。そして、終わった後に一気に眠気が襲い、このまま寝てしまいたいと思ったほど。家に帰ってからも、夜遅くまで倦怠感がありました。
最初に行ったヨガもかなりオススメです!まず呼吸法、姿勢の正し方からテンポよく教えていただきました。レッスン中はできないポーズがあったり、普段使っていない筋肉を伸ばすと痛いと思ったりしていましたが、終わってみるとまったく別。体がすっきりし、気分爽快になりました。 時間があれば本格的に習ってみたいなぁという気にまでなりました。
呼吸法をとりいれて行うヨガは、知らず知らずのうちに心のストレスも取り去ってくれるようです。
ヨガとアーユルヴェーダの組み合わせで、心と体の毒がすっきりと洗い流された気分でした。
キララスパのみなさん、本日は貴重な体験をさせていただき、どうもありがとうございました。
※体験内容・価格は予告なく変更される場合があります。また、本レポートには取材者の主観的な意見が含まれていますが、全ての方にこれを保障するものではありません。あくまで参考としてご利用くださいませ。